「物語は死で終わらない」 / トジツキ ハジメ

★★★★☆


＜紹介文より＞

「俺、お前の事好きなんだ」
大学の同級生・新吾にそう告げられた数日後、突如幸生の人生は二十年で幕を閉じた。告白の返事をしないまま…。
幸生のことを引きずる新吾に、自分が出来るのは「忘れてくれ」と、ただ願うことだけだった。
あの世とこの世の狭間から覗く新吾の人生。
それを通して見えてきた、終わってしまったはずの幸生の「物語」とは――……。
珠玉の作品集！


＜独り言＞

どんどんセンス良くなるトジツキハジメさんの短編集。
短編集ならではの面白さがミッチリ。

あまあまラブい二人なんてどこにもいませんが、かといってドロッと重苦しい二人もおらず濡れ場もナシ。だがそこがいい！(面白けりゃBLに濡れ場は不要、と声を大にしていいたい)
特に年代的にドンピシャ(古語)が散りばめられているサクッとテイスト「雪山途上、山小屋にて」と、透明で静かで一途で熱い死後の世界が広がっている「物語は死で終わらない」がオススメ。
この2作品は甲乙付けがたいなァ。

「はなやかな哀情」 / 崎谷はるひ

★★★★☆

＜関連レビュー＞

　「インクルージョン」
　「やすらかな夜のための寓話」
　「あざやかな恋情」
　「しなやかな熱情」
　「ひめやかな殉情」


＜紹介文より＞

恋人小山臣の赴任先で暮らす秀島慈英は、かつて自分を陥れた鹿間に呼び出され、東京の彼のもとを訪れた。
そこで倒れている鹿間を発見、そのまま何者かに頭を殴られ昏倒してしまう。
知らせを受けて病室を訪れた臣を迎えたのは、臣について一切の記憶を失った慈英だった。
冷たい言葉を投げつけてくる慈英に臣は…!?
大人気シリーズ全編書き下ろし。


＜独り言＞

慈英×臣シリーズ最新作。
短編集「やすらかな夜のための寓話」を読んでないと、誰よコレ？な人物が出てくるのでご注意。

記憶喪失ネタなんて、使い古され過ぎてかえって最近目にしてない気がする。新鮮w
久しぶりに、このシリーズで面白いと思えたな～。
でも次回作に期待できないw
きっとガッカリすると思うわ。娼婦ぶりに。

あ、そういえば、油断してたら苦手な医療分野のシーンがあったんで、ここでガッカリさせられちゃった…。

「水に眠る恋」 / 可南さらさ

★★★★★



＜紹介文より＞

仕事で大学病院を訪れた上原尚哉は、高校時代の同級生で外科医になっていた久住廉との再会に狼狽する。
なぜなら、かつて心を通わせながらも、ある事情で尚哉が裏切り、別れた相手だったからだ。
久住は屈託なく接してきたが、二人きりになると態度を豹変させ、脅すように「償い」を求める。身体を差し出せ、と―。
別れてからも久住を想い続けていた尚哉は、心を痛ませながら応じるが…。甘苦しいセクシャルラブ、全編書き下ろしで登場！



＜ひとりごと＞

積み本消化キャンペーン中。

この作品は確か…執着攻で本を探してた時に、どこかのレビューで目に留まった作品だったかと。
密林で買ってから、紹介文を読んでガッカリしたので、そのまま積んだ経緯。
だって私の苦手な医療を匂わせる文言が…っ

んがしかし。
今回のキャンペーンで、半ば嫌々ながら手に取ったはずが…この高評価…。
ばっちり医療従事者がでてくる作品でしたが、今回はその事実を忘れようと思います。うん。

男同士の恋愛に対する葛藤や家族愛がキチンと描かれていて、かなり好感触。
特に妹達ラブな姉でありながら、二人の妹を嫁に出した身としては涙で鼻水も解凍されました。ズビー。

「インクルージョン」 / 崎谷はるひ

★★★☆☆



＜関連レビュー＞

　「やすらかな夜のための寓話」
　「あざやかな恋情」
　「しなやかな熱情」
　「ひめやかな殉情」



＜紹介文より＞

電車で頻繁に痴漢にあっていた大学生の早坂未紘は、ついに反撃するが、人違いだったうえに相手に怪我までさせてしまう。
落ち込んだ未紘は、その男、ジュエリーデザイナー秀島照映の仕事を手伝うことに。
次第に照映に惹かれていく未紘。
未紘の気持ちに気づいた照映は未紘と身体をつないで…!?
大幅加筆改稿にて待望の文庫化。



＜ひとりごと＞

慈英＆臣シリーズのスピンオフ。
慈英のイトコ、ジュエリーデザイナーの照映さんが主人公。
可愛い年下の子犬ちゃんと出会ってラブるまでのお話。
恋人関係じゃない二人が、恋愛関係に発展するまでのお話が好き！な私にとっては、その点では★4つだったんだけどなぁ…。

活きの良い小型犬みたいな受がくるくると百面相してて可愛…かったのに！悶えすぎです。受。
あんあんだのおっきぃだのいっぱいにしてだのあああああぁぁ勘弁してつかーさい。
九州弁は良かったのになー。残念。

「やすらかな夜のための寓話」 / 崎谷はるひ

★★☆☆☆(平均して)



＜関連レビュー＞

　「あざやかな恋情」
　「しなやかな熱情」
　「ひめやかな殉情」



＜紹介文より＞

刑事の小山臣は、人気画家で恋人の秀島慈英とともに赴任先の小さな町で暮らしている。
ある日、慈英の従兄・照映がふたりのもとを訪れ…。
慈英十三歳、照映十八歳の夏が語られる書き下ろし「ネオテニー“幼形成熟”」、商業誌未収録作「やすらかな夜のための寓話」「SWEET CANDY ICE」「MISSING LINK」「雪を蹴る小道、ぼくは君に還る」を収録。



＜ひとりごと＞

やっべー。
このシリーズ、まだ先まで買ってあるのに挫折しそう…この濡れ場の多さに…。
短編集なので、もう濡れ場しか書かれてない印象。
1本短編を読む度に違う本でインターバルをおいてから再チャレンジ。
そうでもしないと挫折しそうだったんだ。
最後の短編だけは執着攻を味わえて満足でしたが…。

次は照映主役のスピンオフ「インクルージョン」を読もう。
最新作「はなやかな哀情」は、まだ怖くて手が出ないわ…。