「ゴールデンデイズ」（全8巻）／高尾滋

★★★★★

＜1巻紹介文より＞
異様に過保護な母親に反発しながら暮らす、高1の相馬光也。
そんな彼が心の拠り所にするのは、バイオリンと、入院中の祖父だけだった。
しかし、その祖父の容態が急変し、病院へ駆け付けた光也は
突然の地震に襲われて…!?
大正タイムスリップ浪漫登場！

＜独り言＞
彼らの表情に心を奪われ、彼らのセリフに息が止まった。
漫画で感じるこんな感覚は久しぶり。

近頃「泣ける映画」「泣ける漫画」などと謳った作品が目に付くが
私は、ああいった触れ込みは返って作品の質を落としている気がしてならない。
「泣ける」？
だからなんだってんだ。
泣きたいなら玉葱でも刻んでろ。

この「ゴールデンデイズ」は
安易に「泣ける」で一括りにしてもらいたくない。
「泣く為」に作品を読むのではなく
「作品に触れた結果、感情移入してしまう」だけ。

※以下、ネタバレ含む。

ラストもあれで良かったんだ、と心から思える。
現代に戻ってきた光也が、亜伊子の曾孫と出会い、
ふと大正に思いを馳せる見開きが印象的だった。

話のテンポ、登場人物の感情の遷移、
作品の最後の一呼吸まで描いている秀作。
あぁ読んで良かった。